源師賢朝臣
ほととぎす こよひいづこに やどるらん はなたちばなを ひとにをられて
返し 康資王母
ほととぎす はなたちばなの やどかれて そらにやくさの まくらゆふらん
大炊御門右大臣公能
おぼつかな たれそまやまの ほととぎす とふになのらで すぎぬなるかな
皇太后宮大夫俊成
さらぬだに ふすほどもなき なつのよを またれてもなく ほととぎすかな
右兵衛督公行
さよふかみ やまほととぎす なのりして きのまろどのを いまぞすぐなる
後徳大寺左大臣実定
ほととぎす くものうへより かたらひて とはぬになのる あけぼののそら
右衛門督為家
ながきひの もりのしめなは くりかへし あかずかたらふ ほととぎすかな
權中納言長方
あれにける たかつのみやの ほととぎす たれとなにはの ことかたるらん
皇太后宮大夫俊成
ふりそめて いくかになりぬ すずかがは やそせもしらぬ さみだれのころ
後徳大寺左大臣実定
さみだれに むつたのよどの かはやなぎ うれこすなみや たきのしらいと
六條入道前太政大臣
さみだれに 伊勢をのあまの もしほぐさ ほさでもやがて くちぬべきかな
前右近中将資盛
さみだれの ひをふるままに ひまぞなき あしのしのやの のきのたまみづ
左近中将公衡
さみだれの ころもへぬれば さはだがは そでつくばかり あさきせもなし
源家長朝臣
うちはへて いくかかへぬる なつびきの てびきのいとの さみだれのそら
春宮權大夫良実
たちばなの したふくかぜや にほふらん むかしながらの さみだれのそら
藤原光俊朝臣
さみだれの そらにもつきは ゆくものを ひかり見ねばや しるひとのなき
相模
さみだれは あかでぞすぐる ほととぎす 夜ふかくなきし はつねばかりに
前大僧正慈円
ほととぎす ききつとやおもふ さみだれの くものほかなる そらのひとこゑ
橘俊綱朝臣
ほととぎす きくともなしな あしびきの やまぢにかへる あけぼののこゑ
源師賢朝臣
たがさとに またできくらん ほととぎす こよひばかりの さみだれのこゑ