神にませばまこと美はし那智の滝 虚子
補陀落やあらはにおはす那智の滝 淡路女
大滝や斎きかしづく巫女ひとり 淡路女
石段に沿ふ那智村や初詣
窓を鵜の飛びつつ暁くる初湯かな 爽雨
滝守の禰宜に積まれし賀状かな 爽雨
滝をさゝげ那智の山々鬱蒼たり 遷子
かの茂る山乗り越えておとす滝 遷子
かの茂る山截ち裂きてとよむ滝 遷子
滝壺やとはの霧湧き霧降れり 遷子 ひた落ち来滝壺に青き水となりぬ 遷子霧とべりとよめる那智のたぎつ瀬に 青畝
黄凋の那智川沿ひの竹の秋 青畝
那智の滝見るたのしみの花の旅 立子
年を経て再び那智の瀧に来し 虚子
風吹けばすこし乱れて那智の瀧 虚子
千尺の神杉の上瀧かかる 虚子
瀧見駕青岸渡寺の玄関に 虚子
那智詣かなひて滝の写真撮る 青畝
滝壺の怒涛の岩に漱ぐ 青畝
瀧落ちて群青世界とどろけり 秋櫻子
みな聳ちて冬山那智に聚まれる 多佳子
全山の寒暮滝壺よりひろごる 多佳子
冬の旅滝山に入り滝尊む 多佳子
冬滝の天ぽつかりと青を見す 多佳子
鳥居立つ大白滝を敬へと 誓子
大滝は裾の乱れをつくろはず 誓子