山寺灯されて見て通る
昼寝の足のうらが見えてゐる訪ふ
宵のくちなしの花を嗅いで君に見せる
蜘蛛がとんぼをとつた軒の下で住んでる
逢ひに来たその顔が風呂を焚いてゐた
旧暦の節句の鯉がをどつて居る
眼の前魚がとんで見せる島の夕陽に来て居る
町の盆灯ろうたくさん見て船に乗る
花火があがる空の方が町だよ
木槿の花がおしまひになつて風吹く
あけがたとろりとした時の夢であつたよ
おそい月が町からしめ出されてゐる
蓮の葉押しわけて出て咲いた花の朝だ
切られる花を病人見てゐる
お祭り赤ン坊寝させてゐる
陽が出る前の濡れた烏とんでる
木槿一日うなづいて居て暮れた
お遍路木槿の花をほめる杖つく
白い夾竹桃の花の下まいばん掃く