花冷えにこたえて勁しシクラメン
御薬園しきりにつつじ白きかな
春惜むおもてかくすや塗笠に
これやこの春立つ海苔の香なりけり
立春の日かげあまねき障子かな
春立てりあかつき闇のほぐれつつ
春立つや障子へだてしうけこたへ
春寒しおもひもよらぬことにあひ
風やみぬつぼみもつ梅もたぬ梅
散りきれぬ梅のみれんよわが老いよ
鶯やけさまだやまぬ雨の中
鶯や書出しかけし二三行
せきれいとおぼしきかげや春の雪
せきれいとおぼしきかげや春の雨
春雨やカーネーションのつかみざし
山かくす雲のゆききや春の雨
春雨にぬれもこそすれ受験生
屋根ふきの屋根の一日霞かな
うららかやころばぬさきの杖をつき
桃の春おもはぬ雪となりしかな
連翹にきえぬいままでみえし不二
すぐ知れぬ連翹と尋めゆきて
母さはれ姉こひしきよ春の月
はんてんの襟冷ゆるなり朝ざくら
落花舞ひ天下のみだれこれよりぞ