みちのくはわがふるさとよ帰る雁
四阿の柱をめぐりて草萌ゆる
わが前に垂れて花あり枝垂梅
接骨木芽や逆さまに大いなる
葱の花尽きて蝶々舞ひ上る
本を読む菜の花明り本にあり
白魚にさからふ水の流れけり
隣りより木の芽もらひに雨の中
春雨や蛇籠を積んで下る舟
山の鳥来てさわぎゐる桜かな
花火など揚つてゐるや花の雨
葺き替えて棟におさまる雨龍水
梅が枝に干す足袋多し梅の園
海苔舟の人の帽子のいろいろな
雛の幕柳も花もくれなゐに
渓潤にあしびの花のいくたりも
一本の紅梅を愛で年を経たり
梅を見る燭をつつめる蝋唐紙
夜の梅飽かず去らずも星見たり
月よりもくらきともしび花馬酔木
石はしる春水今は戸をへだて
桜人舟の莚にひぢまくら
花屑をのせてくづるる波がしら
花散るや利根の舟宿灯りつつ