恐ろしき女も出たる花見哉 子規
骸骨となつて木陰の花見哉 子規
すさましや花見戻りの下駄の音 子規
朱雀門花見車のもどりけり 虚子
仰向て深編笠の花見哉 漱石
園の戸に花見車の忍びよる 虚子
具足櫃に謡本あり花の陣 虚子
たらちねの花見の留守や時計見る 子規
大錨載せて漕出ぬ花見舟 鬼城
花見船菜の花見ゆるあたり迄 虚子
山駕や酒手乞はれて櫻人 虚子
花衣脱ぎもかへずに芝居かな 虚子
太秦で提灯買ふや櫻狩 虚子
草の戸に終る花見の廻し文 虚子
山人の垣根づたひや桜狩 虚子
左丹塗の文箱ゆきかふ花の幕 虚子
花人の草履の塵に朽つる橋 泊雲
近よれば白粉の穢や櫻人 虚子
料理屋は皆花人の下駄草履 虚子
世を怒る心花見に出でにけり 喜舟
花人を鎮めの風雨到りけり 泊雲
留守の戸の鍵を袂や花衣 爽雨
ぬぎすてし人の温みや花衣 蛇笏