和歌と俳句

落花

花ちりてよい古びなり一心寺 来山

ちるはなや鳥も驚く琴の塵 芭蕉

花ちりて木間の寺と成にけり 蕪村

花ちるやおもたき笈のうしろより 蕪村

ちるさくら落るは花のゆふべ哉 蕪村

花ちりて身の下やみやひの木笠 蕪村

ちる花の雪の草鞋や二王門 太祇

散る花や夢かとぞおもふ袖袂 青蘿

ぬれ蓑に落花をかづく山路哉 青蘿

ちる花にはにかみとけぬ娘哉 一茶

散る花を脇になしてや江戸贔屓 一茶

山盛の花の吹雪や犬の椀 一茶

ちる花や已におのれも下り坂 一茶

散桜肌着の汗を吹せけり 一茶

花ちるや権現様の御膝元 一茶

散りがての花よりもろき泪哉 一茶