日盛の空を航くもののとどろきよ
七月の蒼天を飛ぶ人見ゆる
炎天を人とべりいのちいみじくも
天翔りし人夏草を踏みしむる
憩ふ翼灼けて飛行機夏草に
夕焼の下に出迎母子の像
夕焼や吾子の笑顔よごれたる
ひぐらしやうごかぬ水が暮れてゐる
青きものくろずみゆけり夕凉み
照らされて凉しき波の濁りかな
白きビルをとめのごとし夕焼に
白きビル今ぞ羞らふ夕焼に
白きビル夕焼さめて蒼ざめぬ
かぐろくてけむりのごときうすごろも
うすごろもひとのかたちのおぼおぼに
うすごろもたをのかひなはことにみゆ
うすものにかくれがほなるものをかし
むなもとのたをりぞしるきうすごろも
うすごろもはだへにそへばきえてなき
うすごろもはだのひかりぞかすかなる
うすものやよのおぼろめくはだのてり
うすごろもやははだの汗あらはれぬ