和歌と俳句

日野草城

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日盛の空を航くもののとどろきよ

七月の蒼天を飛ぶ人見ゆる

炎天を人とべりいのちいみじくも

天翔りし人夏草を踏みしむる

憩ふ翼灼けて飛行機夏草

夕焼の下に出迎母子の像

夕焼や吾子の笑顔よごれたる

ひぐらしやうごかぬ水が暮れてゐる

青きものくろずみゆけり夕凉み

照らされて凉しき波の濁りかな

白きビルをとめのごとし夕焼

白きビル今ぞ羞らふ夕焼に

白きビル夕焼さめて蒼ざめぬ

かぐろくてけむりのごときうすごろも

うすごろもひとのかたちのおぼおぼに

うすごろもたをのかひなはことにみゆ

うすものにかくれがほなるものをかし

むなもとのたをりぞしるきうすごろも

うすごろもはだへにそへばきえてなき

うすごろもはだのひかりぞかすかなる

うすものやよのおぼろめくはだのてり

うすごろもやははだの汗あらはれぬ