和歌と俳句

釧路

啄木
しらしらと氷かがやき/千鳥なく/釧路の海の冬の月かな

燈台は低く霧笛は峙てり 虚子

夜もすがら霧の港の人ゆきゝ 虚子

浜の秋艪をかつぎ馬曳いてゆく 櫻坡子

分かたれて鱈も一山できにけり 櫻坡子

町をゆく鮪の馬車に会ふばかり 櫻坡子

蛸さげて行く女房や秋の蠅 立子

迎へ火の幹を染むるや海霧の中 楸邨

迎へ火や沖に呼ゐる船の笛 楸邨

湖いでてすぐ緑蔭の釧路川 秋櫻子

暮涼し碧瑠璃ながす釧路川 秋櫻子

土屋文明
傾く日にきらふは釧路の國の山か夕ぐれてなほ到りつかざらむ

土屋文明
國土のはるけさ十勝をひねもすに雨ぞふりいづ釧路の町なみ