赤彦北蝦夷の 海べの町に 家をもつ 弟の顔は まだ子どもなり
啄木かなしきは小樽の町よ 歌ふことなき人人の 声の荒さよ
碧梧桐閘門を藻草閉ぢけん汐干かな
虚子雪空にいつしか月の見えて暈
虚子アカシヤに凭れて紀陽パリの夢
虚子夏の雲徐々に動くや大玻璃戸
蛇笏樺嵐嶺々をつらね養花天
蛇笏夏雲をきざす晴天海黝む
虚子青きところ白きところや夏の海