和歌と俳句

小樽

赤彦
北蝦夷の 海べの町に 家をもつ 弟の顔は まだ子どもなり

啄木
かなしきは小樽の町よ 歌ふことなき人人の 声の荒さよ

碧梧桐
閘門を藻草閉ぢけん汐干かな

虚子
雪空にいつしか月の見えて暈

虚子
アカシヤに凭れて紀陽パリの夢

虚子
夏の雲徐々に動くや大玻璃戸

蛇笏
樺嵐嶺々をつらね養花天

蛇笏
夏雲をきざす晴天海黝む

虚子
青きところ白きところや夏の海