和歌と俳句

走馬燈 廻り灯籠

あげ汐に廻りて来たり走馬燈 かな女

買つて来しばかりまはるや走馬燈 万太郎

走馬燈いつか消えゐて軒ふけし 久女

ころぶして語るも久し走馬燈 久女

へろへろと走馬燈の游魚かな 夜半

おなじ絵の売れのこりゐる走馬燈 夜半

ひんがしの日に照らされて走馬燈 誓子

走馬燈寝静まる子に廻りけり 喜舟

走馬燈初雁来ると廻りけり 喜舟

深海に青き魚すめり走馬燈 誓子

走馬燈青女房の燃やしぬる 誓子

青海のめらめらと燃ゆ走馬燈 誓子

走馬燈地にうつされて燃えてゐる 誓子

走馬燈夜毎ともして子と住めり 淡路女

走馬燈こゝろに人を待つ夜かな 淡路女

ひとりみるわが手枕や走馬燈 淡路女

紅き帆の練習船の走馬燈 誓子

走馬燈船の上にも海を描く 誓子

走馬燈死にゆくふたり舟を漕ぐ 誓子

青潮の流れ著き走馬燈 誓子

走馬燈灯入れて夫と二人きり 波津女

消ゆるときむらさき色の走馬燈 波津女

走馬燈とこよの闇に消えにけり 淡路女