山の端を雪にもみばや大文字 嵐雪
大文字やあふみの空もただならぬ 蕪村
相阿弥の宵寝起すや大文字 蕪村
銀閣に浪花の人や大文字 蕪村
へご鉢に大文字の火のうつりけり 虚子
大文字や北山道の草の原 碧梧桐
門跡に我も端居や大文字 碧梧桐
大文字夏山にしてよまれけり 風生
大文字や漆のごとき闇の空 草城
大文字ながめがたりの世捨人 青畝
大文字待ちつつ歩く加茂堤 虚子
大文字や人うろつける加茂堤 虚子
大文字の残んの火こそ天あがり 爽雨
大文字火をはねそめし端山かな 青畝
大文字手に乗る遠さ頒たむと 静塔
大文字木を焚く火とは思はれず 誓子
大文字交叉の点の火を強む 誓子
燃えさかり筆太となる大文字 誓子
大文字第一劃の衰へそむ 誓子
送り火の「妙」女偏高くして 誓子
送り火の「大」真紅にて蚯蚓脹れ 誓子
大文字画起す火に力入れ 誓子
送り火の大を丹波の国へ向け 誓子
大文字が生身の魂の吾へ向く 誓子