稲の花
稲の花吸はぬを蝶の艶哉 言水
いくばくの人の油よ稲の花 一茶
稲の花道灌山の日和かな 子規
南無大師石手の寺よ稲の花 子規
稲の花今出の海の光りけり 子規
二の門は二町奥なり稲の花 子規
湯治二十日山を出づれば稲の花 子規
小き馬車に積み込まれけり稲の花 漱石
湯槽から四方を見るや稲の花 漱石
孔孟の道貧ならず稲の花 漱石
田舎馬車ねぎりて乗るや稲の花 虚子
雨に出しが行手の晴れて稲の花 碧梧桐
軽き荷を酔うてかつぐや稲の花 虚子
豊かなる国土の日かな稲の花 麦南
茂吉
稲の花咲くべくなりて白雲は幾重の上にすぢに棚びく
耶馬渓も通り飽きたり稲の花 橙黄子
白露の抱きつつめり稲の花 虚子
酒折の宮はかしこや稲の花 虚子