和歌と俳句

芙蓉 ふよう

枝ぶりの日ごとに替る芙蓉かな 芭蕉

きりさめの空を芙蓉の天気かな 芭蕉

星の精や八日にさける白芙蓉 暁台

月満て芙蓉の花のすわりけり 暁台

立出て芙蓉の凋む日にあへり 白雄

露なくて色のさめたる芙蓉哉 子規

松が根になまめきたてる芙蓉哉 子規

反橋の小く見ゆる芙蓉かな 漱石

昼過ぎつ芙蓉の下に鶏すくむ 碧梧桐

晶子
しろ芙蓉妻ぶりほこる今はづかし里の三月に歌しりし秋


いろづける眞萩が下葉こぼれつゝ淋しき庭の白芙蓉の花

沓の跡芙蓉の下に印すらん 碧梧桐

牧水
旅人は伏目にすぐる町はづれ白壁ぞひに咲く芙蓉かな

露けさの庵を繞りて芙蓉かな 漱石

城石垣一片移す庭芙蓉 碧梧桐