碧巌に斑々として落花かな
暮れそめて暮れをはらざる春日かな
芝うらら遥かのクラブ光りけり
十八のホールの旗の遅日かな
炭の香をおどろかしたる春の雷
けふよりの妻と泊るや宵の春
春の宵なほをとめなる妻と居り
枕辺の春の灯は妻が消しぬ
をみなとはかかるものかも春の闇
妻の額に春の曙はやかりき
うららかな朝のトーストはづかしく
湯あがりの素顔したしも春の昼
永き日や相触れし手は触れしまま
うしなひしものをおもへり花ぐもり
薄闇のにほやかなりし雛かな
雛の眉目わらひたまふとにもあらず
あめりかのかりふおるにやのひなまつり
梅が香や月めく空のうすはなだ
なほ纏ふ冬外套や梅の春
枯芝に坐りて四方の梅日和
紅梅の多からぬ花すくなからず
白梅や日光高きところより
梅日和葛城は雪をひからする
灯ともりてなほ遅日なる木の間かな
春山の薄暮の道の灯かな