和歌と俳句

日野草城

17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

綿雲の真白き桜紅葉かな

くたぶれて紅葉を仰ぐゆふまぐれ

強き灯の照らすところの紅葉かな

みささぎの楓のしるきもみぢかな

風吹けばさかんに落つる桐一葉

乾かして焚きつけにする桐一葉

ありあけの露のはげしき芭蕉かな

一痕の月あり芭蕉つゆけしや

ひつじ田の畦の景色の彼岸花

持つてゐてこはくなりけりしびとばな

たゝずめばあちこち落つる木の実かな

きちこうのむらさき冴ゆるそばえかな

稲刈つて飛鳥の道のさびしさよ

架稲も橘寺も暮れにけり

栗飯のまつたきにめぐりあふ

岡寺の大きなを買ひにけり

の香ふんぷんとして道険し

青葡萄月光来れば透りけり

うらがれをこゝろに露の照る身かも