朝月の萩むらを立つ雀かな
萩の葉のこまごまとして雨冷ゆる
夕月やうちかぶり剪る萩白し
萩の花夜目のほのかにこぼれけり
雪洞のここに尽きたり園の萩
鶏頭を裂いても怒りとどまらず
鶏頭や花の端焦げて花盛り
齢を問へば雁来紅に目をつむる
人妻を恋へば芙蓉に月嶮し
黒髪を梳くや芙蓉の花の蔭
夕冷えに白さ極まる芙蓉かな
逢ひにゆく袂触れたる芙蓉かな
面影はかぜに吹かるる芙蓉かな
この谷にいつも霧あり蘭の秋
小机の閑日月や蘭の秋
凋んでも月がさすなり蛍ぐさ
白桔梗一輪凛とひらきけり
コスモスや籬溢れに咲き闌くる
降られゐて牛おとなしや秋桜
コスモスや夜目にもしるき白ばかり
引き据うる古び盥や秋ざくら