節
鮑とる鷹の島曲をゆきしかば手折りて來たる濱木綿の花
節
はまゆふは花のおもしろ夕されば折りもて來れど開く其花
浜木綿は甲羅法師のかざす花 誓子
浜木綿や晴れてはあれどうろこ波 野風呂
白秋
浜木綿は 花のかむりの 立ち枯れて そこらただ暑し 日ざかりの砂
白秋
牟婁と言へば 葉叢高莖 百重なす 浜木綿の花は うべやこの花
白秋
紀の海 牟婁の渚に 群れ生ふる 浜木綿の花 過ぎにけるかも
白秋
糸しだり 花過ぎ方の 浜木綿は 影おだしけれ 火照る夕波
浜木綿をかざして夜の波の間に三鬼
浜木綿の香の大島に上陸す 野風呂
浜木綿や便乗たのむ海女の舟 野風呂
浜木綿の百重なす葉の露涼し 野風呂
浜木綿や志摩は詩の国夢の国 野風呂
島井戸へ浜木綿の道立ちならす 野風呂
大島は海女の神なり浜おもと 野風呂
万葉の歌云ひきかす浜おもと 野風呂
暁の浜木綿の香をひとり占む 野風呂
わだつみの神のかざしの浜おもと 野風呂
大洋の雌波しくしく浜おもと 野風呂
浜木綿に牟婁の岩礁とこしなへ 青畝
浜木綿は砂丘のなだれおしとどむ 青畝
咲いて三日鉢の浜木綿もうだれて悌二郎
はまゆふは真夜の灯台にほはしむ 青畝
潮流を変へたる岬浜おもと 青畝