和歌と俳句

源俊頼

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ますかがみ 浦つたひする かささぎに こころかろさの ほどをみるかな

みかりのに かさなかれする はしたかの こゑにもつかぬ うらみをぞする

たのめつる ことばにことの かはらずは つらさばかりや うれしからまし

こころえつ 眞野のかやはら ふみからし くるもしるしの なき身なりけり

こころあひの 風ほのめかせ やへすかき ひまなきおもひに たちやすらふと

はねかづら あかもの裾に くりためて はなふくいもを ふれずばやまし

千載集・恋
立ちしより 晴れずも物を 思ふかな なき名や野べの 霞なるらん

千載集・恋
これを見よ 六田の淀に 小網さして しをれし賎の 麻ごろもかは

しるしあれや たけのまろねを かぞふれば ももよはふしぬ しちのはしかき

きみこふと ゐのかるもより ねざめして あみけるぬだに やつれてぞみる

てにとれば 涙にそへる 水茎の つかのまだらや かたみなるらむ

あぢさゐの はなのよひらは おとづれて なぞいなのめの なさけばかりぞ

あさましや こはなにごとの さまぞとよ 恋ひせよとても うまれざりけり

恋ひすてふ なほぬれぎぬと いふべきに やかてもきする わが涙かな

涙川 かげにもはちす おりたちて おいの波も ぬらす袖かな

われをきみ こころのままに すがしまの ことをなつみの うらみてぞゆく

おきつなみ しばしなかけそ みさごゐる 磯つたひきて つままたをらむ

つくづくと おもひたむれば たつかゆみ かへるうらみを つるはへてする

おくれとて そふるこころや 道すがら 駒のつまづく はしとなるらむ

まきの板を ほろにあだして かよひこむ にくみもあへず いもがしなひに