和歌と俳句

源俊頼

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ひのあかり あまねきそらの けしきにも わきみひとつは くもかくれつつ

なにかおもふ はるのあらしに くもはれて さやけきかげは きみのみぞ見む

よもすがら かわかぬ袖を ともにして 身のうきことを うれへつるかな

としをへて 身はしづめども よとともに うきたつものは こころなりけり

ほどもなき あさかほにおく つゆのみの なにうきことを おもひしるらむ

鈴鹿山 関のこなたに としふりて あやしくも身の なりまさるかな

金葉集・雑
須磨の浦に しほ焼くかまの 煙こそ 春にしられぬ 霞なりけれ

みさごゐる いそまにおふる まつのねの せはしく見ゆる よにもふるかな

あびきする みつのはまべに さわかれて あけをささ野へ たづ帰るなり

いくしをり こえてか人に いはがねの こりしく山を かへりみるべき

おほゐ川 みなわさかまく いはふちに たたむいかだの すぎがたのよや

あさゆふに つたふいたたの 橋なれば 桁さへたえて たぢろぎにけり

こひしとも いはでぞおもふ たまきはる たちかへるべき むかしならねば

ささがにの いとかかりける 身のほどを おもへば夢の ここちこそすれ

つくづくと おもへばかなし 數ならぬ 身をしるあめの をやみだにせよ

あづまぢの 勿来の関の よぶこどり 何につくべき わが身なるらむ

うなゐこが はなちのかみを とりたてて まきそめ川よ 淵瀬かはるな

志賀の山 こころはれにぞ こえつれど かすみにさへも まがひつるかな

くちなしの いろにたなびく うき雲を ゆきげのそらと たれか見ざらむ

あをたけを くものうへ人 ふきたてて はるのうぐひす さへづらすなり