和歌と俳句

源俊頼

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金葉集・雑千載集・雑歌
世の中は 憂き身にそへる 影なれや 思ひ捨つれど 離れざりけり

みのうきに しみかへりたる なげきをば たまえのみづも えやはきよむる

いくかへり おきふししては ふゆのよの とりのはつねを ききそめつらむ

つれなさを おもひあかしの うらみつつ あまのいさりに たくものけふり おもかけにたつ

あすかがは うききにつもる あはゆきの なみたちくれば たのもしげなき 世にもふるかな

あづまぢの やへのかすみを わけきても きみにあはねば なほへだてたる ここちこそすれ

千載集・雑歌 旋頭歌
かきたえし 真間の継橋 ふみみれば へだてたる 霞もはれて むかへるがごと

うらむとも しらでやしかの しきりには はぎのはひえを しがらみにくる

うらめしと しかをないひそ はぎのえも かごとにしつつ すぐすとぞみる

はかなしな をののをやまだ つくりかね てをだにもきみ はてはふれずや

をぐらやま みねよりいでて ゆくつきも あふさかまでは くまなかりけり

すまのうらや なぎさにたてる そなれまつ はひえをなみの うたぬ日ぞなき

しとねには しふゐせうとぞ おもひつる したりかほにも つもるはなかな

あるかぎり ひをけにながく おもふらむ とふひともなき はるのすみかは

ちるはなを あかず見ればや 旅人の しらぬ山路に ひをくらすらむ

かがりびに うのはなしとは 見ゆれども みなるることは おとらざりけり

おもひかね あふちぎりをぞ うらみつる なごりなからむ ことをおもへば

きみがかばね ふぢはらならば かすがやま いはねのまつに かからざらめや

うらみても なににかはせむ はなみると けさしもつけぬ こころせばさは

あさねかみ かきなでしこの はなれなば おもひみだれて こひやわたらむ

あやまたぬ はなのみやこを おのれから うききやうなりと おもひけるかな