和歌と俳句

源俊頼

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こりはてぬ にへのはつかり あさにする やどにもあらで ひとかへしつる

はつかりの にへのひるげの つかなりと ほかけぞすべき いかがかへさむ

すみよしの しきつのうらに たびねして まつのはかぜに めをさましつる

かはのせの おちまふ水の ゆくゆくと おもふこころを ひとにいはばや

さはにおふる ますけのなへを ふみしだき あさゐるたづの こゑきこゆなり

かぞふれば くるまをかくる よはひにて なほこのわにぞ まはりきにける

いしだたみ ありける庭を きみにまた しくものなしと おもひけるかな

名にしおはば みもさえぬべき いしだたみ かたしく袖に ころもかさねよ

ことわりや いかでかこひも しなざらむ あふくま川に 水のたえなば

ほどもなく とりいだせとや おもふべき まつとたけとは ひさしきものを

さらぬだに ねざめのとこの さびしきに 木つたふさるの こゑきこゆなり

いにしへは ひとにとはれし ももしきの ことをもきみに たづねつるかな

かずならぬ わがみはいちの みぞなれや ゆきかふひとの こえぬながれは

いさやまた みなとのさきの ここちして おもひたたれぬ なげきをぞする

なごの浦の おとさへけさは はげしきに いかになるとの おきさわぐらむ

かつしかの 眞野のうらわの おきつとに あけのそほふね からろおすなり

よしとおもふ こころのねがふ 西なれば からみなりとも まゐらざらめや

ひきならす こゑぞさやかに きこゆなる 朽ちにし舟の みことならねど

いまはしも あかぬまとゐに さよふけて 水のながれも はなさきぬらむ

うれしさを きかするほどは ここのつの うしのひとつの けにもおよばず