白秋
いちはやく 冬のマントを ひきまはし 銀座いそげば ふる霙かな
牧水
身もほそく 銀座通りの 木の蔭に 人目さけつつ 旅をおもひき
牧水
別れ来て 銀座の街に 秋の木木 かげ濃き午後を 行けば靴鳴る
牧水
夜ふけし 夏の銀座の しきいしの つめたきを踏み よろぼひあゆむ
牧水
われと身の さびしきときに 眺めやる 春の銀座の 大通りかな
銀座うら雪ふれる夜の鶴吊れり 蛇笏
茂吉
きさらぎの 三月にむかふ 空きよし 銀座つむじに 塵たちのぼる
晩秋の華やぎ灯る銀座かな 石鼎
迢空
街のうへに いきれて あがる土ほこり。家並みの飾り、くるめきて見ゆ
迢空
この町の古家のしにせ 賑へど、あきなひ早くなりて さびしさ
迢空
かたよりて 我が立てる 銀座尾張町 かくも、処女は 充ち行きにけり
迢空
いとけなくて、我が見し町のむすめ子に 似つゝは 行かず。都のをとめ
初夏のイルミネーションの銀座かな 石鼎
あきかぜのふきぬけゆくや人の中 万太郎
匂ひ袋銀座の夜を匂やかに かな女
茂吉
けふ一日 ことを励みて こころよく 鰻食はむと 銀座にぞ来し
茂吉
人むれて 銀座をゆくに まじはれり いまだ降りゐる 夜更けの雨
人形の手に正札や銀狐 立子
茂吉
子らがためスヰトポテト買いひ持ちて暫し銀座を歩きつつ居り/p>
青霧の葬花をぬらす銀座裏 蛇笏
花を見て来しはさいぜん銀座歩す 立子
茂吉
地下道を のぼれば銀座の 四丁目 ことわりたえて 目をみはりけり
茂吉
とし老いし この翁さへ 歩み得る 銀座街のひる 銀座街のよる
幾千の銀座の顔の冬の黙 楸邨
お降りや銀座うら舗鶴を吊る 蛇笏
茂吉
いまさらに 他の往還 ゆかずして 銀座十字を 荷の馬とほる
茂吉
眞少女の うしろを吾は 歩みゆく 銀座舗道の ゆく春にして
銀座西日頸たてて軍鶏はしるなり 楸邨
銀座びと生き愉しめり春の雷 源義
銀座裏まひたつ湯気に夜の雪 蛇笏
春の夜とケテルの葡萄パンとかな 万太郎
辻にのみ銀座の日向十二月 爽雨