和歌と俳句

藤原良経

老若歌合五十首

わがくには天照る神の末なれば日の本としもいふにぞありける

昔よりみくにつたはる法の水流れて澄める松の海かな

民もみな君に心をつくば山しげき恵の雨潤ふ世に

この頃は関の戸鎖さずなりはてて道ある世にぞ立ちかへるべき

かかる世に契ありてぞ逢坂の小川のすゑは君にまかせむ

世の中はあるにまかせて過ぐすかなこたへぬ空をうち眺めつつ

知るやきみ星をいただく年ふりて我が世の月も影闌けにけり

幾年の花と月とになれなれて心の色を人に見すらむ

世々を経て君が御代をやまつのかぜ残るかひある住吉の岸

和歌の浦の葦邊のたづのさしながら千歳をかけて遊ぶころかな