和歌と俳句

初嵐 はつあらし

灯して子とあそびけり初嵐 かな女

逢ひみたき人は遠さよ初嵐 淡路女

雲の峰吹きたわみけり初嵐 虚子

帷子の紺あでやかに初嵐 喜舟

野の花を挿したる瓶に初嵐 みどり女

初嵐なつめの色にいまだしや 野風呂

四つ手網雑魚をふるひぬ初あらし 秋櫻子

藤棚に月よく動く初嵐 立子

何となく人に親しや初嵐 虚子

はつあらし佐渡より味噌のとどきけり 万太郎

初嵐して人の機嫌はとれませぬ 鷹女

来る人の今日かあしたか初嵐 立子

遠の花はたゞ黄色なり初嵐 立子

初あらし灯影水路にはしり消ゆ 秋櫻子

初あらし水路劃線を撓めたり 秋櫻子

時計員ゴール目守れば初あらし 秋櫻子

初あらし鷹を入江に吹き落す 秋櫻子

初あらし崎の楊を吹きなびけ 秋櫻子

初あらしあまたの崎へ波を刷く 秋櫻子

はつ嵐小猿に鷲はこずゑかな 蛇笏

野鳥より瀬のうろくづに初嵐 蛇笏

青空に小鳥飛ばされ初嵐 みどり女

初嵐すだれを吹いてすぎにけり 万太郎

初嵐多忙はむしろいさぎよく 林火

はつあらし佐渡より味噌のとゞきけり 万太郎

初嵐干しし水着を奪らんとす 悌二郎

大袈裟にゆるる櫟や初あらし 波郷