皆吉爽雨
鶴かへる花なづなもて飾れる田
遠わたりせし初蝶のあとを見ず
着かさねて箱根を下山遅さくら
噴きあぐる波ももみあひ雪解川
銀行も雁木の一戸町雪解
幾雪崩ぜんまい採りの越えて消ゆ
湖舟三つ巴に釣れる公魚か
谷の歯朶照りて梅林遠からじ
早梅のほとりあひつつ咲きふゆる
頬白の春田歩きの頬よ来よ
水取の炬火の上堂間をおかず
部屋を掃き庭掃き初音つづくなり
涙痕のごと蝶を描き涅槃の図
旅家居さくら餅の夜つづくなり
包みつつ応ふる御手も雛納め
棚六段かぞへ見あげて花しだれ
古草の摧けいざなふ青き踏む
花寒きひまの太白月のごと
春惜しむただ人著き人の死に
初雷や湖北泊りの湖の方