按察使公通
苔のむす いはかけ清水 底きよみ 下には夏も かよはざりけり
千五百番歌合に 後京極摂政前太政大臣良経
山姫の 滝の白糸 くりためて 織るてふ布は 夏衣かも
正治百首歌奉りける時 小侍従
さのみやは やまゐの清水 すずしとて かへさもしらず 日を暮すべき
源季広
松がねの いはもる清水 せきとめて むすばぬさきに 風ぞ涼しき
西行法師
山里は そとものまくず 葉をしげみ うら吹きかへす 秋をこそ待て
前中納言匡房
ゆふかけて 波のしめゆふ 河社 秋よりさきに 涼しかりけり
大宰權帥為経
夏くるる かみなび川の せをはやみ みそぎにかくる 浪のしらゆふ
藤原隆信朝臣
みそぎする いくしのしでに 風すぎて すずしくなりぬ 水無月の空
後京極摂政前太政大臣良経
みそぎ川 浪のしらゆふ 秋かけて はやくも過る みなづきの空
皇太后宮大夫俊成
鳴滝や 西のかはせに みそぎせむ いはこす波も 秋やちかきと