超臨界二酸化炭素CO₂を利用する場合には、高圧ガス保安法が適用されます。実際の装置を設置し、運転する場合には都道府県庁(権限移譲している場合は市町村長。以下同じ。)の許可・届出などが必要です。 特に装置が大きい場合には、運転するための法的資格者が必要ですので、前もっての受験等の準備が必要になります。
【高圧ガスとは】
 高圧ガス保安法の第二条で以下のように規定されています。

常用の温度で圧力が1MPa以上となる圧縮ガスであって現にその圧力が1MPa以上であるもの、
又は 35℃で圧力が1MPa以上となる圧縮ガス
常用の温度で圧力が0.2MPa以上となる圧縮アセチレンガスであって現にその圧力が0.2MPa以上であるもの又は15℃で圧力が0.2MPa以上となる圧縮アセチレンガス
a) 常用の温度で圧力が0.2MPa以上となる液化ガスであって現にその圧力が0.2MPa以上であるもの、
b) 又は 圧力が0.2MPaとなる場合の温度が35℃以下である液化ガス
前号に掲げるものを除くほか、35℃で0MPaを超える液化ガスのうち、液化シアン化水素、液化ブロムメチル、液化酸化エチレン
 液化二酸化炭素CO₂は20℃で、5.6MPa(g)の蒸気圧を示し、上記③の液化高圧ガスとなり、県庁等への届出・許可が必要となります。
【液化ガスとは】
 内規の「Ⅰ.高圧ガス保安法関係 第2条関係(定義)」で次のように定義されています。
 現に液体であって、
 ❶大気圧下における沸点が40℃以下のもの(大気圧中に放出された場合ほぼガス状になるもの)又は
 ❷大気圧下における沸点が40℃を超える液体が、その沸点以上で、且つ、
  1MPa以上の状態にある場合のもの

 実際の物資では下表のようになります。

種類名称沸点 [℃]臨界温度 [℃]臨界圧力 [MPaA]高圧ガスの条件
圧縮
ガス
空気-191.5-140.73.78≧1MPaG
( ➀ )
窒素-195.8-147.13.39
酸素-183.0-118.85.03
アルゴン-185.7-122.04.86
水素-252-239.91.30
液化
ガス
二酸化炭素 CO₂-78.5(昇華点)317.38液体状態
(圧力・温度用件無し)
( ③b) )
エタン C₂H₆-89324.88
アンモニア NH₃-33.313211.4
フレオン22-40.896.44.91
プロパン C₃H₈-42.896.84.26
n ブタン C₄H₁₀-0.51523.8
アセトアルデヒド CH₃CHO20.21885.6≧0.2MPaG
( ③a) ❶ )
n ペンタン C₅H₁₂36.1196.453.37
アセトン (CH₃)₂CO562354.8沸点以上 & ≧1MPaG
( ③a) ❷ )
メタノール CH₃OH64.7239.488.1
エタノール C₂H₅OH782436.38
n-ヘキサン C₆H₁₄692353.0
ベンゼン C₆H₆802894.9
2プロパノール (IPA)822354.76
10037422.1

高圧ガス・液化ガスは以下のように三分類されます。

③b):圧力・温度条件関係無しに液体であれば
   該当する上表の二酸化炭素~nブタン

③a)の❶:沸点≦40℃の液体で、0.2MPaG以上

③a)の❷:沸点以上で且つ1MPaG以上の液体

例えば、nペンタンは、温度に関係無く、0.2MPaG以上であれば、高圧ガスに該当します。一方、メタノールは、0.2MPaG以上であっても、沸点以下であれば、高圧ガスでは無く、沸点64.7℃以上で、且つ、圧力が1MPaG以上であれば、高圧ガスになります。

上記メタノールと同様に、184℃以上の高圧熱”水”は、沸点100℃以上で、飽和圧力が1.0MPaG以上となるため、液化ガスで高圧ガス設備に該当します。


二酸化炭素は、高圧ガス保安法(HPG)では、第一種ガスと規定されます(下図参照)。第一種ガスのみの場合、処理量が300Nm³/日以上は、許可(第1種製造者)、それ以下は事業開始の20日前迄に知事に届出(第2種製造者)が必要です。 処理量は、一日の稼働時間と関係なく、24時間稼働する場合の処理量となります。
 300Nm³/日は、超臨界CO₂で、昇圧①(下図フロー図参照) ・加熱・減圧② のみの場合は、約12 kg-CO₂/ HrのCO₂供給量=流量に該当しますので、装置計画の時には、考慮が必要です。CO₂を回収し、再使用する場合は、更に、凝縮工程③ が加算されますので、更に小さな処理量で許可が必要になります。
 又、高圧ガス設備の第一種製造者は、「定期に都道府県知事が行う保安検査を受けなければならない(第35条1項)」、第一種製造者、第二種製造者は「定期に保安のための自主検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない(同2項)」と規定されているため、 毎年自主・保安検査を実施する必要があります。

  圧力:ゲージ圧力をいう (法第二条第一号)

 詳細は、以下等で必ず最新版を確認して下さい。 (以下は20181028現在ですので最新版と異なる場合があります)
  ・高圧ガス保安法、  ・高圧ガス保安法施行令、  ・一般高圧ガス保安規則、  ・特定設備検査規則(タンク、槽、容器類の設計時の遵守基準)

【高圧ガス保安法における可燃性ガス及び毒性ガス】

1. 可燃性ガス アクリロニトリル、・・・・及びその他のガスであって、次のイ 又は ロに該当するもの
 イ:爆発限界 (空気と混合した場合の爆発限界をいう。以下同じ) の下限が 10%以下のもの
 ロ:爆発限界の上限と下限の差が 20%以上のもの
  尚、「爆発限界」とは、可燃性の気体又は可燃性の液体の蒸気と空気との混合物に点火した
  時、その火炎が全体に伝播し爆発を引き起こすガスの濃度の限界をいう (旧通達集より)
2. 毒性ガス アクリロニトリル、・・・・及びその他のガスであって、じょ限量が百万分の二百以下のもの
  尚、「じょ限量」とは、一般の人が有害ガス等を含んだ環境のもとで中規模の作業を一日8
  時間行い、かつ長期間継続しても健康に障害を及ぼさない程度の有害ガスの濃度の限界をいう (旧通達集より)

一般高圧ガス保安規則の第二条に、可燃性ガスと毒性ガスが右枠内に記載のように規定されています。

(1) 取扱い流体の単独での該当数値

名称二酸化
炭素
エタ
ノール
イソプロパ
ノール (IPA)
略称CO₂EtOHIPA
分子量4446.160.1
爆発上限界[vol%]-19.012
爆発下限界[vol%]-3.32.0
同上単独該当性×
同限界差[vol%]-15.710.0
同上単独該当性×××
許容濃度[ppm]5,0001,000400
同上単独該当性×××

上記より、①「可燃性ガス」は、混合流体として、判断する必要がある、
②「毒性ガス」は、単毒ガスが非該当のため、非該当です。

(2)混合流体としての、「可燃性ガス」の領域

「可燃性ガス」の領域

高圧ガス保安協会発行の「可燃性ガス及び蒸気の爆発危険性(KHK E 002)(S46年2月発行)(以下"本資料"と略)」に可燃性混合物の領域のデータが取りまとめられています。ここでは、本資料に基づき、超臨界CO₂の運転条件を前提に、可燃性混合物の領域を検討します。
 但し、本資料には、IPAのデータは、無く、EtOHも限られた条件しか記載されていないため、厳密な判断をするためには、更にデータの収集が必要です。尚、EtOHに関しては、(社)産業安全技術協会で常圧・60℃のデータを取得した例があります。

(1) EtOHに不活性ガス(CO₂他)を混合した場合の爆発領域の範囲(加工追記データ)(詳細データは、原本参照の事)を右図に示します。一般に、可燃性領域は、温度、圧力の上昇により、その範囲が広がります。以下にその影響を検討しますが、これは、あくまでもその温度・圧力条件下で空気が存在する条件下でのデータです。

(2) 温度の影響
  爆発下限界の温度依存性に関する式は以下で表されます。
   Lt/L25 = 1 – 0.000721 x (T – 25)
  ここで、LtおよびL25は、それぞれ温度T℃及び25℃の下限界の濃度です。計算例として、300℃での水素の爆発下限界を考えて見ます。25℃での水素の爆発下限界は4%なので
   Lt/4 = 1 – 0.000721 x (300 – 25) ⇒ Lt = 3.21 %
 2割ほど爆発下限界が下がる結果となります。この式で重要なのは、温度が上がると爆発下限界は下がる、すなわち爆発範囲が広がってしまうことです。
  上記は、https://www.yj-chem.net/%E3%80%90%E9%AB%98%E5%9C%A7%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%80%91%E7%88%86%E7%99%BA%E9%99%90%E7%95%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
  https://yuruyuru-plantengineer.com/explosion-range-le-chatelier/を参照させて頂きました。

【消防法のお話】

  エントレーナとしてエタノール等の可燃性液体を使用する場合には、消防法の危険物に該当しますので、市町村長等への許可・届出が必要になる場合があります。
  因みに、エタノールは、危険物第4類引火性液体アルコール類に該当し、指定数量(400Liter,令別表第3)以上の危険物を取り扱う場合には許可が必要です。
  ここでアルコール類とは、1分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個迄の飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)をいい、組成など勘案して総務省令(則1の3④)で定めるものは除かれます(法別表第一備考)。
  具体的には、以下の場合のアルコール類は、危険物から除外されます。
    ・上記の飽和一価アルコールの含有量が60%未満の水溶液
    ・可燃性液体量が60%未満であって引火点及び燃焼点がエチルアルコールの60%水溶液の引火点及び燃焼点を超えるの
  指定数量未満の場合は、装置等の技術上の基準が市町村条例で定められ、指定数量の5分の1以上の危険物(少量危険物)の使用等には届出が必要です。
  詳細は、以下等で必ず最新版を確認して下さい。(以下は090623現在ですので最新版と異なる場合があります)
   ・消防法、・危険物の規制に関する政令、・神戸市火災予防条例

  危険物第四類の引火性液体(引火性を有する液体)は、以下のように分類されています。 (最新の法規等で必ず確認下さい)

品名指定数量性質物品例
1. 特殊引火物   50 Liter発火点が100℃以下、引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下ジエチルエーテル
二硫化炭素
2. 第一石油類:非水溶性
        水溶性
  200 Liter
  400 Liter
引火点が21℃未満アセトン
ガソリン
3. アルコール類  400 Liter炭素が~3個迄の飽和一価アルコール(変性アルコール含む)、総務省令で例外規定メチルアルコール
4. 第二石油類:非水溶性
        水溶性
 1,000 Liter
 2,000 Liter
引火点が21℃以上70℃未満、総務省令で例外規定灯油
塗料類
5. 第三石油類:非水溶性
        水溶性
 2,000 Liter
 4,000 Liter
引火点が70℃以上200℃未満、総務省令で例外規定重油
塗料類
6. 第四石油類 6,000 Liter引火点が200℃以上250℃未満、総務省令で例外規定タービン油
7. 動植物油類10,000 Liter引火点が250℃未満、総務省令で例外規定あまに油

【防爆のお話】 (工事中)

  可燃性のガス、液体を取扱う場合は、爆発の危険雰囲気を形成することがあります。このため、電気設備を点火源、起爆源となることを防止する構造、処置を講じる必要があります。
   以下工事中