全体観把握目的で色々な公表情報を基に作成しているため、整合性が取れない場合もあります。自ら検証して御使用下さい。
溶解度パラメータとは、物質間の親和性の尺度を表すもので、SP値(Solubility Parameter)とも呼ばれ、類似した溶解度パラメータを有した物質どうしは混ざりやすい性質があります。
このため、エントレーナ(助剤、モディファイアー)等の選定の際の指標として利用される場合があります。溶解度パラメータの概要はこちらへ
CO₂は無極性流体のため、溶解度パラメータは他の溶媒と比べ小さく、ヘキサンと似た溶媒と言われる場合があります。
このため、他の溶媒をエントレーナとして添加し溶解度パラメータを大きくして親和性を高めたりします(図の破線参照)。
溶媒 | 水 | エタノール | IPA | ベンゼン | ヘキサン |
SP値 | 47.8 | 26.4 | 23.5 | 18.7 | 14.8 |
例えば、下図に示すように、CO₂に10%エタノールを添加すると、20MPaのSP値は、14.5から16.5に高くなり、これは、CO₂単独での40MPa相当時のSP値と同等になります。
右図に超臨界二酸化炭素へ各種アルコール、溶媒が2mol%溶解する時の2成分系の臨界圧力(Pc)と臨界温度(Tc)を縦軸に取り、横軸に各種アルコール、溶媒のSP値を示したものを示します。
例えば、超臨界CO₂98mol%とエタノール(SP値26.5)2mol%の混合流体は、Pc=7.8MPa以上、Tc=35℃以下で完全相溶(ひとつの相)となり、その逆では、液液の二つの相となります。
脂肪族炭化水素(ペンタン~デカン)の2成分系のPcとTcは、超臨界CO₂のSP値(4.8 @ 8MPa,40℃)から離れる、大きくなるにつれて大きな値になります。一方、アルコールは、逆に炭素数が多くなる(SP値が小さくなる)と2成分系のPcとTcが大きくなります。これは、アルコールの-OH基とCO₂のインターラクションが小さくなるためと考えられます。
超臨界CO₂が有機高分子材料に溶解すると、膨潤・可塑化(高分子鎖の絡み合いを緩和し運動性を促進、自由体積の増加)が起こります。左図は、PET繊維を超臨界CO₂と各種溶媒に浸した時の膨潤度を試料長さの変化として、混合溶媒のSP値で整理したものです。