ながれ着きあへず消えたる燈籠かな 万太郎
燈籠の消ぬべきいのち流しけり 万太郎
流灯を灯して抱くかりそめに 多佳子
流燈がすすむ心の音楽と 静塔
海澄む夜北港あげて流燈會 蛇笏
流燈をしたひて沖の船にあり 蛇笏
おのおのの数珠に月てり流燈会 爽雨
流燈のすぐに消えたるひとつかな 真砂女
ながれゆくなりわが手はなれし燈籠の 万太郎
ながれゆくなり波のくらきに燈籠の 万太郎
ながれゆくなりわが魂のせて燈籠の 万太郎
燈籠のよるべなき身のながれけり 万太郎
犇きて流燈の岸とおもほへず 波郷
流燈に奪ひ去らるるもののあり 波郷
流燈の眠らんとして熄まざりき 波郷
流燈の帯のくづれて海に乗る 青畝
西開くままに流燈西へ行く 誓子
流燈群横切りしその舟にわれ 誓子
流燈のあと月光を川流す 林火
片寄るも流燈かなし離るるも 汀女
流燈の死霊一列組んで行く 誓子
巌が根に灯す流燈匂ひけり 波郷
巌の上に流燈見つつ他郷なり 波郷
巌下りて流燈の場露けしや 波郷
流燈の離れじとのみみな沖へ 汀女
流燈を瀬波さそひて覆へす 悌二郎
流燈に入りしとき波襲ふ 悌二郎
流燈の気負ふ一燈瀬にのまる 悌二郎
流燈の河口に出しがいのちの灯 悌二郎
流灯会陸奥の夜潮の早さかな 汀女
流灯の末路八十島かき消えし 静塔
流燈へ浮上のろのろ老カレヒ 不死男