自動車のついて賑はし紅葉狩
鎚とれば恩讐親し法の秋
月高し遠の稲城はうす霧らひ
並びたつ稲城の影や山の月
鶴舞ふや日は金色の雲を得て
月光に舞ひすむ鶴を軒高く
暁の田鶴啼きわたる軒端かな
寄り添ひて野鶴はくろし草紅葉
一群の田鶴舞ひ下りる苅田かな
近づけば野鶴も移る刈田かな
群鶴を驚かしたるわが歩み
学童の会釈優しく草紅葉
鶴鳴いて郵便局も菊日和
家毎に咲いて明るし小菊むら
菱実る遠賀の水路は縦横に
菱採ると遠賀の娘子裳濡ずも
菱摘むとかがめば沼は沸く匂ひ
海松かけし蟹の戸ぼそも星祭
下りたちて天の河原に櫛梳り
彦星の祠は愛しなの木蔭
口すすぐ天の真名井は葛がくれ
荒れ初めし社前の灘や星祀る
星の衣吊すもあはれ島の娘ら
乗りすすむ舳にこそ騒げ月の潮