色さめし造り花売る小春かな
薬のむあとの蜜柑や寒の内
君を呼ぶ内証話や鮟鱇汁
鮟鱇ありと答へて鍋の仕度かな
傾城を買ひに往く夜や鮟鱇鍋
新宅は神も祭らで冬籠
鮟鱇鍋河豚の苦説もなかりけり
隣住む貧士に餅を分ちけり
烏帽子著よふいご祭のあるじ振
病床やおもちや併べて冬籠
朝霜に青き物なき小庭哉
枯尽くす糸瓜の棚の氷柱哉
貧をかこつ隣同士の寒鴉
軸の前支那水仙の鉢もなし
大事がる金魚死にたり枯しのぶ
冬枯の中の錦を織る処