夏の月ごゆより出て赤坂や 芭蕉
蛸壺やはかなき夢を夏の月 芭蕉
月はあれど留主のやう也須磨の夏 芭蕉
月見ても物たらはずや須磨の夏 芭蕉
手をうてば木魂に明る夏の月 芭蕉
夏の月蚊を疵にして五百両 其角
蚊屋を出て又障子あり夏の月 丈草
われ鐘のひびきもあつき夏の月 北枝
水影のもろもろ涼し夏の月 千代女
釣竿の糸にさはるや夏の月 千代女
堂守の小草ながめつ夏の月 蕪村
ぬけがけの浅瀬わたるや夏の月 蕪村
殿守のそこらを行や夏の月 蕪村
賊舟をよせぬ御船や夏の月 蕪村
夜水とる里人の声や夏の月 蕪村
石陣のほとり過けり夏の月 蕪村
少年の犬走らすや夏の月 召波
檀林に談義果しよ夏の月 召波
町中をはしる流よなつの月 白雄
橋落て人岸にあり夏の月 太祇
掃流す橋の埃や夏の月 太祇
片道はかはきて白し夏の月 太祇
神鳴の上りし松や夏の月 几董
あれ程の中洲跡なし夏の月 一茶
うら町は夜水かかりぬ夏の月 一茶
寐せつけし子のせんたくや夏の月 一茶
山門の大雨だれや夏の月 一茶