和歌と俳句

榎本其角

春茎を包む葉もなき雪間かな

白魚をふるひ寄せたる四つ手かな

昔哉初音三井寺ゆめの春

の身を逆にはつねかな

鶯に長刀かかるなげしかな

うぐひすや遠路ながら礼かへし

綿とりてねびまさりける雛の貌

段のひな清水坂をひと目かな

菓子盆にけし人形や桃の花

小坊主や松にかくれて山ざくら

傀儡の鼓うつなる花見かな

車にて花見を見ばや東山

猫の子のくんづほぐれつ胡蝶哉

旦夕のはしゐはじむるつつじかな

海松の香に杉の嵐や初瀬山

水影やむささびわたる藤の棚

渡し舟武士は唯のる彼岸

御秘蔵に墨を摺らせて梅見哉

種おろし俵に渡す小橋哉

舞鶴や天気定めて種下し



宗鑑 貞徳 季吟 宗因 来山 言水 才麿 鬼貫 芭蕉 素堂 嵐雪 去来 丈草 凡兆 史邦 杉風 荷兮 曾良 路通 越人 土芳 野坡 支考 許六 浪化 惟然 北枝 涼菟 千代女 也有 蕪村 召波 暁台 白雄 太祇 几董 青蘿 一茶