和歌と俳句

横井也有

十一

草刈にお手はと問はば金銀花

影法師を寺にも建るかな

幟とも竹のよしみや笹粽

言ひまけて一羽は立か行々子

さみだれや入日いり日を見せながら

五月雨や背戸に盥の捨小ぶね

男より女いそがしさ月晴

傘にたゝみこみけり鍋牛

寝くらして鷺は染らぬ青田かな

箒木やまた蜘の巣に負て居る

ゆふ顔や挑灯つるす薬師堂

昼寝した手に持て居る かな

此松も柳にしたき清水かな

物申の声にもの着るあつさ

牛も笛もなき草刈のあつさ