何とやらおがめば寒し梅の花
君が代やみがくことなき玉つばき
ちやのはなやほるゝ人なき霊聖女
ちるときの心やすさよ米嚢花
君が代や筑摩祭も鍋一ツ
稗の穂の馬迯したる気色哉
うらやましおもひ切時猫の恋
啼やいとど塩にほこりのたまる迄
稲づまや浮世をめぐる鈴鹿山
花に埋れて夢より直に死んかな
山ぶきのあぶなき岨のくづれかな
清水をむすべば解くる暑さ哉
へつらへる心ぞあつき夏袴
雪の下名のらで寒し花の色
山寺に米搗く程の月夜哉
茶屋ともの婦夫いさかふ雨の月
雨の月どこともなしの薄あかり
霧はれて桟は目もふさがれず
さらしなや三よさの月見雲もなし
露萩もおるる斗に轡虫
吹風に唇うるむ木槿かな
行燈の煤けぞ寒き雪のくれ