和歌と俳句

池西言水

御忌の鐘皿割る罪や暁雲

ねこの子やいづく筏の水馴竿

うこぎ摘む蝸牛もろき落葉哉

菜の花や淀もも忘れ水

尼寺よ只菜の花の散径

うかれ出つ蕗の薹もぐ朧月

いたどりも壇のつつじの木間哉

くまぬ井を娘のぞくな半夏生

在江法師麦の秋風と読りけり

家々や蔀間に榾焼く五月雨

高根より礫うち見ん夏の湖

守る人と違ふ氷のつかひかな

絵のぼりや那須紙七騎武者尽し

長棹や天にあがりてかみ幟

矢数射る若衆に望なかりけり

炭焼や雪に馴しを夏小着布

水にひぢて岩に着せけり麻頭巾

月は山美犬こそ眠れたかむしろ

釣そめて蚊屋面白き月夜哉

いそ海苔や春を持越す青すだれ

京団賀田の女に言伝ん

塵はゆるさじ此橋汗の捨所

薬玉や灯の花のゆるぐ迄

西の海青酢汐あり沖鱠

沖鱠箸の雫や淡路島