けふの日やついでに洗ふ仏達
おも痩て葵付たる髪薄し
うち明てほどこす米ぞ虫臭き
わか菜より七夕草ぞ覚へよき
爪髪も旅のすがたやこまむかへ
草の葉や足のおれたるきりぎりす
玉しきの衣かへよとかへり花
舞姫に幾たび指を折にけり
おはれてや脇にはづる ゝ鬼の面
しら魚の骨や式部が大江山
嵯峨までは見事あゆみぬ花盛
のどけしや港の昼の生肴
更級の月は二人に見られけり
狩野桶に鹿をなつけよ秋の山
いく落葉それほど袖もほころびず
あやめさす軒さへよそのついで哉
あはれなる落葉に焼や島さより
はつきりと有明残るさくらかな
おもふ事ながれて通るしみづ哉
おどろくや門もてありく施餓鬼棚
稲妻に大仏おがむ野中哉