イースタや一揆の島としも言へじ
イースタのあまくさびとはだれ休み
朧星一点天草灘にあり
耕人に天草の島多きかな
うつろなるままに流れて田螺殻
西行忌初案再案さだまらず
南無阿弥陀跣のくにの寝釈迦かな
紀の椿飛びて磯菜にころびたり
春潮や切支丹墓地丘を占む
春潮の鏡なしたり天主堂
奉教の迫害の丘麦青し
すこしある五月五日の残り酒
針箱をいぢくる尼や虎が雨
智照尼のうす墨ごろも雷涼し
満面に汗して酬もとめざる
夕顔や方丈記にも地震のこと
旱魃やねなしかづらの弱りをる
歯のゆるぎ易く老いたり桐一葉
歌に知る東の國の曼珠沙華
燭を持ち黒き我ある野分かな
大台の霧時化波のごと来る
曼珠沙華日本武の征きし国
天彦にあらそふ百舌も暮れにけり