千樫
かみなりのとどろなるなべに寄りくる子らやわれはやめるに
大雷雨巨樹にはりつき草刈女 泊雲
はたゝ神やうやく和むゆあみかな 烏頭子
鳴神やうら枯牡丹ならびたる 槐太
静もりし空やいつしか雷わたる 石鼎
両脇に男の子女の子やはたゝ神 みどり女
はたゝ神鏡台の間の暗さかな 泊雲
よく晴れて遠雷や雲の中 石鼎
雷のきらひなことを妻知れり 石鼎
雷や国の鎮の幾柱 喜舟
いかづちのとどろく窓の梭の音 秋櫻子
鳴きこたふ山家の鶏やはたた神 秋櫻子
紫羅傘に嶺の雷雨の打ちきたる 秋櫻子
かみなりうつりゆく山のふかみどり 山頭火
遠雷すふるさとのこひしく 山頭火
雷鳴が追つかけてくる山を越える 山頭火
あの山こえて雷鳴が私もこえる 山頭火
俯すごとく走れる人やはたた神 虚子
はたた神三峰山に居りたまふ 秋櫻子
径ゆくやなほいかづちの雲の上に 秋櫻子
二三片烏雷雨にうたれ飛び 茅舎
いかづちに松籟どつと乱れ落つ 茅舎
雨すでに過ぎたる雷のさわやかに 汀女
金山の雲のいかづちとよもせる 誓子
雷の音のひと夜遠くわたりをり 草田男
はたたかみ下り来て屋根の草さわぐ 青邨
花菖蒲紫消ぬる雷雨かな 青邨
迅雷に一瞬木々の真青なり かな女