葵かけてもどるよそめや駕の内
碓の幕にかくるゝ祭かな
低く居て富貴をたもつ牡丹哉
門へ来し花屋にみせるぼたん哉
切る人やうけとる人や燕子花
深山路を出抜てあかし麦の秋
麦秋や馬に出て行馬鹿息子
笋を堀部弥兵衛や年の功
筍のすへ筍や丈あまり
白罌粟や片山里の朦の中
牡丹一輪筒に傾く日数かな
さつき咲庭や岩根の黴ながら
濡ともと幟立けり朝のさま
くらべ馬顔みへぬ迄誉にけり
なぐさめて粽解なり母の前
物に飽くこゝろ耻かし茄子汁
列立て火影行鵜や夜の水
いで来たる硯の蝿の一つかみ
姫顔に生し立けむ瓜ばたけ
盗人に出合ふ狐や瓜ばたけ
二階から物のいひたや鉾の児
あふぎける団を腕に敷寐かな
書棄し歌もこし折うちは哉
扇とる手へもてなしのうちは哉
貯ともなくて数あるあふぎ哉