和歌と俳句

土筆 つくし

土筆飯よりつまみとる塵一つ 青畝

土筆みな浮く桶の水深ぶかと 青畝

よろこびのかなしみのつくつくしかな 万太郎

龍の角落ちて土筆の生ひにける 秋櫻子

虚子庵は松山ぶりに土筆煮る 青邨

土筆なつかし一銭玉の生きゐし日 楸邨

剥く土筆ベルナデッタの墓のもの 青畝

つくづくし筆一本の遅筆の父 草田男

土筆より航跡一本湾に出づ 林火

土筆の頭遠くに人も円光負ふ 多佳子

手をつけば土筆ぞくぞく大地面 多佳子

せせらぎや駈けだしさうに土筆生ふ 不死男

こめかみに土筆が萌えて児が摘めり 鷹女

摘みためし土筆意外に重かりし 立子

土筆かなし摘み残されて狐色 立子

土筆煮て「野道」の著者に見舞はるる 波郷

畦いたく欠けし彼方に土筆籠 秋櫻子

うす味に土筆を炊いて不和家族 双魚

土筆出てひかりの起伏空にあり 双魚

村の噂土筆の袴とりながら 風生

一本と乞へば一本土筆くれぬ 汀女