夏の雲
片削ぎにカムヰヌプリは夏雲断つ 楸邨
連峰の高嶺々々に夏の雲 虚子
のべたらにまつりのつづく夏の雲 万太郎
夏の雲白きに乳房向けて泳ぐ 楸邨
夏雲や夢なき女よこたはる 信子
夏の雲徐々に動くや大玻璃戸 虚子
夏雲の伸びて暮れ来ぬ牡蠣筏 亞浪
夏雲の立ちたつ伽藍童女うた 多佳子
夏雲の湧きてさだまる心あり 汀女
夏雲航く地上のことを語りつづけ 多佳子
父のごとき夏雲立てり津山なり 三鬼
誰も来て仰ぐポプラぞ夏の雲 秋櫻子
夏雲たつ山は越後ぞ鷹舞へり 林火
どぶろく一石神酒夏雲も起りけり 林火