和歌と俳句

夏の山

夏山を軒に大仏殿とかや 虚子

夏山にもて来て呉れし椅子に掛け 虚子

夏山の水際立ちし姿かな 虚子

能舞台地裏に夏の山入り来 虚子

夏山のすぐそこにある軒端かな 虚子

夏山に照る瀬ひびくは夕べのため 龍太

砂あれば夏山にても掌に平す 誓子

夏山を行く岩岩に手触れつつ 誓子

夏山と一壁額と照し合ふ 龍太

夏山の襟を正して最上川 虚子

夏山に対して朝の息をする 虚子

夏山に東山あり京に来し 虚子

叡慮には禍多き夏の山 青畝

夏山の系捻れたる裏が見え 誓子

夏山に大きな龕や佛たち 青畝

羅漢寺は壺中の寺や夏の山 青畝

夏の山硫黄むきだし爛れたる 青畝