和歌と俳句

藤原俊成

わが友と君が御垣のくれ竹はちよにいくよの影をそふらむ

きみが植ふる松にすむ鶴いくちよかのどけき宿になれむとすらむ

うゑてみる君が齢はかぎりなしちたび花さけやどの若松

水上に千とせすめとや定めけむ八十うぢ川の絶えぬながれを

ちはやぶる宇治の橋守言とはむいくよすむべき水のながれぞ

きみが世はまねくそそぐ春雨の數ぞ千歳の數となるべき

悠紀方近江国風俗和歌十首

新古今集・賀
近江のや坂田の稲をかけ積みて道あるみよのはじめにぞつく

よろづ世を祈りぞかくる長峯の山の榊をさねこじにして

うれしくも鏡の山をたてをきて曇なきよの影をみるかな

四方の海も風しづかにぞなりぬらし聲治れりよごのうら波

君がよはちへのみなくら隙もなくつくり重ねよ眞木の村人

吹く風は枝も鳴らさでよろづ世とよばふ聲のみ音たかのやま

ゆく末を思ふもひさし君がよはいはねの山の峯の若松

安河に群れゐてあそぶ眞鶴ものどかなる世をみするなりけり

ゆふ園のひかげの蔓かざしもて楽しくもあるか豊のあかりに

動きなく高御倉山いのりをきつ治めむ御代は神のまにまに