子の日して小松が埼をけふみればはるかに千代の影ぞ浮かべる
をとめらも君がためとや亀岳によろづ世かねて若菜つむらむ
春の日の光はきはもなけれどもまづ花さくは梅原の山
松がえに枝さしかはす櫻山花も千歳の春やにほはむ
水のいろに花のにほひもひとつにて八千代やすまむ山吹の埼
布さらす麓のさとのかずそへて卯の花さける大瀧のやま
長澤の池のあやめをたづねてぞ千よのためしにひくべかりける
せく水も吉田のさとに植ふる田はかねて年経む影ぞみえける
岩間もる玉蔭の井の涼しきに千年の秋をまつ風ぞふく
七夕に今朝ひく絲もながかれと君をぞ祈る高宮のさと
照る月も光をしへていゆるかな玉よせ返す志賀の浦波
露しげき玉野の原の萩ざかり風ものどかにみゆる秋かな
いくちよの秋かすむべき菊の花にほひをうつすよし水のさと
かずしらず秋の刈穂をつみてこそ大蔵山の名にはおひけれ
もみぢ葉を染むるしぐれは降りくれど緑ぞまさる松が枝の岸
いく千代を幾栄ゆかむ御代なれや千坂の浦に千鳥なくなり
あづま路やひつぎの貢絶えじとて雪ふみわくる勢多のなが橋
きみが代は吉身の村の民もみな春をまつとやいそぎたつらむ