和歌と俳句

與謝蕪村

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七くさや袴の紐の片むすび

に終日遠し畑の人

うぐひすや案内揃ふて飯時分

剛力は徒に見過ぬ山ざくら

咲ぬれどむめやらうめじややら

菜の華や法師が宿を訪はで過し

みの虫の古巣に添ふて二輪

なつかしき津守の里や田螺あへ

静けさに堪えて水澄たにしかな

鴈立て驚破田にしの戸を閉る

鍬濯ぐ水や田螺の戸々に倚

夜桃林を出てあかつきの嵯峨の桜人

花を踏し草履も見えて朝寝かな

暮んとす春を小塩の山ざくら

銭買て入るやよしのゝ山ざくら

山守のひやめし寒きさくらかな

人間に鶯啼や山ざくら

折釘に烏帽子かけたりの宿

甲斐がねに雲こそかゝれ梨の花

まだ長ふなる日に春の限りかな

春雨やもの書ぬ身のあはれなる

鴈行て門田も遠くおもはるゝ

帰る鴈田ごとの月の曇る夜に

畠うつや鳥さへ啼かぬ山かげに

耕や五石の粟のあるじがほ