己が羽の文字もよめたり初烏
青柳や芹生の里の芹の中
やぶいりのまたいで過ぬ几巾の糸
はつむまや鳥羽四塚の鶏の声
初ざくら其きさらぎの八日かな
筋違にふとん敷たり宵の春
古寺やほうろく捨るせりの中
骨拾ふ人にしたしき菫かな
家中衆にさむしろ振ふもゝの宿
祇や鑑や花に香たかん草むしろ
平地行てことに遠山ざくらかな
啼あへでうぐひす飛や山おろし
鶯や野中の墓の竹百竿
さびしさに花さきぬめり山ざくら
まだきともちりしとも見ゆれ山桜
馬下りて高根のさくら見付たり
我帰る路いく筋ぞ春の艸
なのはなや笋見ゆる小風呂敷
菜の花や鯨もよらず海暮ぬ
菜の花やみな出はらひし矢走船
我影をうしろへ春の行衛かな
行春や白き花見ゆ垣のひま