和歌と俳句

鹿島

頼政
夜舟こぎ 沖にてきけば 常陸の海 鹿島がさきに 千鳥なくなり

此松のみばへせし代や神の 芭蕉

膝折るやかしこまり鳴く鹿の声  曽良

朧夜や誰か寝て行鹿島舟 白雄

晶子
利根の宿 松の梢に 置くものは 遠き鹿島の 灘のしら波

嵐中鹿島の神は旅立てり悌二郎

秋晴や鹿島詣での人の中 青邨

香取より鹿島はさびし木の実落つ 青邨

風薫る鹿島の杉は剣なす 茅舎

杉美まし鹿島は風のかをる茅舎