和歌と俳句

塩原

泉鏡花
むらもみぢ灯して行く貉の湯

茂吉
馬車とどろ 角を吹き吹き 鹽はらの もみづる山に 分け入りにけり

茂吉
とうとうと 喇叭を吹けば 鹽はらの 深染の山に 馬車入りにけり

茂吉
しほ原の 湯の出でどころ とめ来れば もみぢの赤き 處なりけり

晶子
髪に来て 山風舞ひぬ 塩の湯の かへでの形の からかみのもと

晶子
前の馬車 煙草のけぶり 三筋立て 霧ふる山の 塩原に入る

晶子
六番の おとりと呼べる 塩の湯の 少女はさびし 三味を弾けども

晶子
塩原の 福渡戸の あけがたの 岩より下る かづらの紅葉

晶子
塩の湯の 三百段の きざはしを 下る目に見る たかはらの山

晶子
塩原の 小夜の河原の 野立石 半ぬらして 山の雨晴る

河鹿啼く水打つて風消えにけり 亜浪

渓音に夏帯結びこらへけり かな女